正統進化と誤解の狭間に生まれた、隠れた最高傑作
■ハードロックの真髄がここにある――にもかかわらず…
2001年にリリースされたBuckcherryの2ndアルバム『Time Bomb』は、1stの勢いを保ちつつ、より多彩な表情と確かなメロディを携えた、まさに“正常進化”の一枚だ。
にもかかわらず、このアルバムはなぜか正当な評価を受けることなく、キャリアの中でも“目立たない存在”として扱われがちである。
その事実に対し、自分は疑問を感じざるを得ない。ハードロックの魅力をこれだけ端的かつ多面的に詰め込んだ作品が、なぜ語られにくいのか――それが不思議でならないのだ。
■多様でありながら芯の通った構成美
『Time Bomb』には、ただの勢い任せではない、明確な方向性と楽曲構成の妙がある。
1曲目「Frontside」からいきなり全開のロックンロールで幕を開け、2曲目「Ridin’」ではAC/DCを思わせるような縦ノリのグルーヴ感で魅せる。ここまでの時点で“このアルバム、間違いない”という確信が芽生える。
さらに再び疾走感のある「Porno Star」、連続して耳を奪われるキャッチーなロックチューン「Underneath」「Slit My Wrists」が配置されており、展開にまったく隙がない。そしてアルバム終盤には、静かに語りかけるようなバラード「You」が控えており、ハードさと繊細さの両面を持つBuckcherryの魅力が最大限に表現されている。
■売れなかった理由が見当たらない
『Time Bomb』は、キャッチーでありながら粗削りなロックの衝動を失っていない、極めてバランスの取れたハードロックアルバムだ。にもかかわらず、前作『Buckcherry』や後のヒット作『15』と比べると、どうにも世間的な評価が追いついていない印象がある。
当時の市場やタイミングの問題もあるだろうが、それにしてもこの作品が埋もれてしまったのは惜しい。少なくとも、楽曲の質、バンドの勢い、演奏の熱量、どれを取っても一級品であり、“これぞロック”という要素に満ちている。
■終わりに
Buckcherryの『Time Bomb』は、派手なセールスや名声こそ手にしなかったものの、ハードロックのカッコよさを真正面から鳴らしきった、紛れもない傑作である。疾走感、グルーヴ、キャッチーなメロディ、そして美しいバラード――ロックに求めるすべてがここにある。
商業的な成功とは裏腹に、ファンの心に深く刻まれた作品。自分にとっては間違いなく彼らの最高傑作であり、これからも何度も聴き返すであろうアルバムだ。


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